医学部は大学創立から遅れること37年の1927年に創立されました。当初から基礎と臨床の融合に重点がおかれ、基礎研究部門であるDBS
(Division of Biological Science) との連携を特徴としています。医学部の正式名称は "The Pritzker School of Medicine" です。これは設立当時から(そして現在も) Pritzker家 (Hyatt Hotel
Group の経営一族)より多額の篤志を受けていることに対して、1968年より名付けられています。
上述のノーベル医学・生理学賞においては11人(10件)の受賞者を輩出しています。
大脳半球の機能分化の研究(1981)・視覚の基礎過程の発見(1967)・前立腺癌ホルモン療法の発見(1966)・コレステロール,脂肪酸の生合成機構と調節に関する研究(1964)・神経細胞の興奮と抑制のしくみの発見(1963)・核酸の2重らせん構造の発見(1961)・遺伝子の化学過程の調節による支配に関する発見(1958)・X線による突然変異の発見(1946)・ビタミンKの化学的本性の発見(1941)・血管縫合および血管または臓器の移植に関する研究(1912)であります。
1961年受賞のワトソン博士は世界で最も有名な科学者と云ってよいでしょう。DNAが2重らせん構造をとっていることを発見し、現在のバイオテクノロジーの扉を開いたその人です。1928年シカゴ生まれ。子供時代からのバードウォッチング好きが高じ(シカゴ大学近くのジャクソンパークでよくバードウォッチングしていたそうです)、シカゴ大学では動物学を修めています。しかも弱冠15歳でシカゴ大学に入学、19歳で卒業しています。在学中に遺伝学に興味を持ち、後の研究方向が決まっていきました。その後イギリスに渡り、25歳で2重らせん構造の発見、33歳でノーベル賞受賞に至っています。
また1966年受賞のハギンズ教授は研究経歴のほとんどをシカゴ大学で過ごし、前立腺癌を中心としたホルモン依存性癌の研究に多大なる成果を収めました。シカゴ大学ではその功績を称え、がん研究所 (Ben May Institute for Cancer Research) を設立するとともに彼を初代所長に任命しています。がん研究所のロゴも彼の肖像をモチーフに作られています。
また臨床部門においても、シカゴ大学病院は全米屈指のレベルを誇る総合病院であり、特にがん・脳神経領域の研究が有名です。US News 誌の 2003年 America Best Hospital においては第6位(がん部門)、第14位(総合)にランクされています。がん治療に関しては、地域の基幹がんセンター(Cancer Centers)にも認定されており、基礎・臨床の両部門で全米をリードしています。
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